本の泉 清冽なる本の魅力が湧き出でる場所…

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第126回 2011年7月21日


●執筆者紹介●


加藤泉

「本の泉」執筆リーダー
有隣堂アトレ恵比寿店

仕事をしていない時は
ほぼ本を読んでいる
尼僧のような生活を送っている。


磯野真一郎

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂 販売促進室
書籍仕入・販促担当

晴れて気持ちのいい休日は、
自転車で遠くの公園に出掛けて本を読んでいます。

岩堀華江

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂厚木店
文芸書・文庫を担当

本と映画、そして音楽がないと生きていけないと思っています。

広沢友樹

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂アトレ新浦安店
文芸書・コミック等を担当

書評と建築、
そして居心地の良いカフェや図書館が好きです。

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有隣堂スタッフが選んだ2011上半期ベストワン

今回は、今年の上半期に出版された本の中から
有隣堂スタッフの有志がそれぞれベストワンを選びました。
読み忘れている本はないでしょうか? 夏休みの機会に是非手にとってみてください!

 (書名五十音順)
 

一刀斎夢録・表紙画像
一刀斎夢録
上・下


各1,680円
(5%税込)
   浅田次郎 『一刀斎夢録 上 (文藝春秋)

小説なので、浅田次郎の想像の産物であることは間違いないのだが、あたかも斎藤一が本当に語ったことのように思えてしまうのは、一体どういうわけか。
「嘘を書くのが小説家」と言われるが、その嘘をどれだけ真に見せかけられるかが、小説家の力量だと思う。浅田次郎という作家は、その力量がズバ抜けているのである。
彼の手にかかれば、新撰組だろうと中国の馬賊だろうと、その場で見てきたかのように躍動させることができる。
兎にも角にも、この小説の凄いところは、ズバリ、「想像の産物」だというところである。

(横浜駅西口店 佐藤正博)

円卓・表紙画像
円卓


1,300円
(5%税込)
    西加奈子 『円卓(文藝春秋)

毎日勉強せず、馬鹿なことばかり考えたり遊んだりしていた子供の頃。今思えばどうしてそんなことばかりしていたのか分からないが、それでも毎日はキラキラと確かに輝いていたと思う。
にぎやかな8人家族の中で愛情たっぷりに育てられ、人気者の小学三年生の女の子“こっこ”は、ひと夏に起きたある出来事で、人の痛みや孤独を知る。そして彼女は大人へと1歩ずつ成長していく。
登場人物は全員個性豊かで愛おしい人たちばかり。こっこのとんでもない行動や言葉にゲラゲラ笑い、時にはキラキラしていたあの頃を思い出しながら読んでみてください。
あなたの心にきっと何か残るはずです。

(藤沢店 菅野貴子)

オーダーメイド殺人クラブ・表紙画像
オーダーメイド
殺人クラブ


1,680円
(5%税込)
    辻村深月 『オーダーメイド殺人クラブ(集英社)

“オーダーメイド殺人クラブ”なんとも惹かれるタイトルだ。
学園もののミステリーにありがちな軽さはなくそれでいて主人公アンをはじめ登場人物の今時の若者らしいドライでいて幼さの残る心の揺れ動きの描写が素晴らしい。
辻村さんらしいちょっと切なく痛いストーリーはラストシーンで救われる。
若い方達にはぜひ読んで頂きたいし老若男女を問わず引き込まれてしまう事間違いなし!

(川崎BE店 大嶋慶子)

麒麟の翼・表紙画像
麒麟の翼


1,680円
(5%税込)
    東野圭吾 『麒麟の翼(講談社)

今年上半期のベスト1!白石一文さんの『翼』をあげたいところですが、やはりここは、“チーム東野”として、『麒麟の翼』推しまくろうと思います。
“とうちゃん”ものミステリーには、必須で号泣。そうそう、こういうふざけたやつがいるから、事件は起こるんだとついつい感情移入。
今や国民的ミステリー作家、東野圭吾の『麒麟の翼』、ズバリ“鉄板の面白さ”です。
まだ未読の方は、ぜひ急いでお読みください!

(川崎BE店 佐伯敦子)

新幹線のたび・表紙画像
新幹線のたび


1,575円
(5%税込)
    コマヤスカン 坂正博 『新幹線のたび(講談社)

この絵本は2011年3月に発売されました。
本来ならば東北新幹線と九州新幹線の開通にあわせた記念になる絵本でした。
子供と父親が新幹線を乗り継いで、
鹿児島の祖父母のところへ行く道中を
パノラマで描いています。
震災の映像で見た場所もこの絵本では美しくそのままです。
新幹線はただ人を運ぶだけではありません。
夢や希望も運んでいるのだと思います。
あの美しい東北が一日も早く元気になりますように。

(アトレ目黒店 酒井ふゆき)

ジェノサイド・表紙画像
ジェノサイド


1,470円
(5%税込)
   高野和明 『ジェノサイド(角川書店)

とても壮大なスケールの物語であるにもかかわらず、明日、どこかで起こりうるかもしれない、と思わせる程のリアリティを感じます。
イメージしていたのとは全く違う話の展開に、驚きつつ、本の世界に没頭してしまいました。この物語の顛末を誰が予想できたのでしょう?
小説の持つ力を最大限に引き出した、この大傑作をうけとめるには、私たちにも覚悟が必要です。大量虐殺ジェノサイドに耐えられるのか?問われている気がしました。

(厚木店 岩堀華江)

翼・表紙画像


1,260円
(5%税込)
    白石一文 『(光文社)

「心の底から愛した、まさに『運命の人』が、自分の隣に居ない。果たしてそんな人生に意味はあるのか」
恋愛小説と呼ぶには余りにシビアで余りに烈しすぎる主題にがっぷり四つに組み、正解不能と思えるその主題に見事に答えてみせる作家としての覚悟と矜持に震撼せざるを得ない!
近年こんなに凄まじい信念を持って書かれた小説はないのではないか。
物語自体のミステリアスな組み立てと相俟って余りの面白さに一気読みしてしまった傑作!

(横浜駅西口店 梅原潤一)

デカルコマニア・表紙画像
デカルコマニア


1,575円
(5%税込)
    長野まゆみ 『デカルコマニア(新潮社)

「未来を伝えるために過去に送られた」という本を読み進めるうちに、どうやら自分の父や祖父って実は!?  という展開にワクワク。レモンドーナツに羨望の眼差しを送り、仕掛けられた数々の符号が収束されていく様にハラハラ。
タイムトリップが主題でない、時空を超えた不思議な一族の話に、まんまとハマりました。2回は読み返したね。

(ルミネ横浜店 富澤明子)

バタをひとさじ、玉子を3コ・表紙画像
バタをひとさじ、
玉子を3コ


1,470円
(5%税込)
    石井好子 『バタをひとさじ、玉子を3コ(河出書房新社)

なんだか、わくわくしてくるタイトル。小さかった頃、母がボウルに卵をおとして泡だて器でカシャカシャ混ぜて。何ができるのか、オムレツかケーキか楽しみに待っていたのを思い出す…。
本書の内容は全く違うけれど、おいしいものに纏わるあれこれは読んでいて幸せな気分にしてくれる。

(ルミネ横浜店 高谷久美子)

ピエタ・表紙画像
ピエタ


1,575円
(5%税込)
    大島真寿美 『ピエタ(ポプラ社)

18世紀イタリア・ヴェネツィアでは捨て子も貴族も高級娼婦も自らの定めを懸命に生きています。彼女たちの晩年がこんなにも暖かく幸せに包まれているのは、彼女たちが相手を敬い、支え合って生きていた証なのです。優しさに満ちたこの小説の最終楽章には自然と涙が溢れてきます。作曲家ヴィヴァルディの姿も生き生きと描写されており、輝くヴェネツィアの魅力的な物語となっています。

(アトレ新浦安店 広沢友樹)

人質の朗読会・表紙画像
人質の朗読会


1,470円
(5%税込)
   小川洋子 『人質の朗読会(中央公論新社)

私たちの祈りは、遠い地で悲しみに暮れる人たちに本当に届いているのだろうか?
そんな無力感にとらわれたら是非この本を読んでください。
―「あなたは一人じゃない」
一言も書かれていないのに、人と人との繋がりを信じさせてくれる奇跡のような1冊です。

(アトレ恵比寿店 加藤泉)

未来ちゃん・表紙画像
未来ちゃん


2,100円
(5%税込)
   川島小鳥 『未来ちゃん(ナナロク社)

佐渡島で1年にわたり撮影された女の子。
子供を題材とした写真集は数知れずあるが、本書は一味も二味も違う。
この究極に魅力的な女の子に釘付けになること請合います。
「子供っておばかよねえ」とニヤニヤしてしまうし、
そこに自分の子どもらを重ね合わせてしまうし、
自分の子供時代にもあるあるとなつかしんでしまうし、
何度開いてもそれはそれは幸せになれるのである。
そこには「いのち」が見えるからか…
初めは自主制作で発売され、即完売。いまやちょっとしたベストセラー。それも納得の1冊。大好きです。

(ルミネ町田店 渋沢良子)

もうひとつの朝・表紙画像
もうひとつの朝


2,100円
(5%税込)
    佐藤泰志 『もうひとつの朝(河出書房新社)

海炭市叙景で20年ぶり奇跡の復刊、息を吹き返した佐藤泰志の小説たち。この本はファンのさらなる熱い要望に応え、初期作品を集めたもの。
18歳で鮮烈デビューを果たした「市街戦のジャズメン」を始め、佐藤泰志作品独特の不良性、孤独、過酷な労働のリアリティ、汗のにおう生命力、青春という名の輝きや愚かさをむきだしに描いた傑作揃い!
「深い夜から」のかっこ良さったら!近年こんなに夢中になった作家は他にない。時を越えて直木芥川三島山本賞ぜんぶあげたい。

(横浜駅西口店 天羽雅代)

嫁の遺言・表紙画像
嫁の遺言


1,575円
(5%税込)
   加藤元 『嫁の遺言(講談社)

7話の短編集です。
表題作「嫁の遺言」を読んでその上質さにビックリ。
悲しくて湿っぽいドラマになりがちな内容を軽いユーモアで包んでみせる「泣き笑い」の世界観、人間の欠点を見つめる眼差しの優しさは、向田邦子ファンには堪らないはず。
主人公さまざまな6つの話、読み終わりは風の様に心地よい一冊です。

(アトレ目黒店 倉田裕子)

ロンリー★コンバット!・表紙画像
ロンリー★コンバット!


1,575円
(5%税込)
    日向まさみち 『ロンリ-★コンバット!(角川書店)

略して「ロリコン」、最初の文が「ロリコンを患ったので塾講師になった」…で、引かないでください!必死に恋愛し、普通の恋愛よりも悩んでだす結論は涙なしには読めません。
もちろん、エンターテイメントとしても最高!会話の掛け合いのリズム感に笑いも止まりません!1冊で何度もおいしい!オススメです!

(ヨドバシAKIBA店 関口実幸)

わたしの彼氏・表紙画像
わたしの彼氏


1,680円
(5%税込)
    青山七恵 『わたしの彼氏(講談社)

バイト先の歯科衛生士や弁当屋の人妻に誘われちゃうのに、公民館勤めのDV女や貢がせる女子高生とかにハマってしまうバカな鮎太朗。でもなぜだろう、読み進んでいくうちにそんな鮎太朗に恋をしている自分に気付いた!それは多分青山さんの文章の持つ魔法のせいだろう。「弁当屋の汚い天井をつきやぶって彼女を夜空の高くに吹きあげてしまいそうだった」とかロマンチックで楽しい表現が大好き。
2007年『ひとり日和』で芥川賞を受賞した彼女の、新しい愛すべき傑作!

(横浜駅西口店 岩井静花)



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