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津村記久子
『まともな家の子供はいない』(筑摩書房)
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平尾: |
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ワシのおすすめはコレ! 津村記久子『まともな家の子供はいない』。
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悠木: |
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どういう内容なんですか?
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平尾: |
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中学3年生のセキコは、働かないで家でゴロゴロしている父親のことが大嫌いで、夏休みはなるべく家の外で過ごすようにしてるんだよ。
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野口: |
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図書館に行ったり、友達の家にお邪魔したり。
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平尾: |
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そう。でもな、そこで彼女はそれぞれの家庭が抱えている実情を目の当たりにして、まともな家なんてない、まともな親なんていない、ってことに気づくんだ。
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悠木: |
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は~、なるほど。中学生特有の苛立ちですね。
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平尾: |
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うむ。でもな、この作家のすごいのは、中3女子の不平不満を描いてはいるが、そこに普遍性があるとこなんだよな。
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野口: |
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はい。私も読みましたが、セキコの苛立ちはことごとくこの世の生き辛さに通じていると思いました。
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悠木: |
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へぇ~。
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平尾: |
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真夏の太陽にまで文句言っちゃってるからな。「人間はすごく無理をして生きている」っていうのがこの作品のテーマだな。
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悠木: |
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誰かにそうはっきり言ってもらえると、肩の力が抜けて楽になれますよね。
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平尾: |
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最近なんかイライラする~って人は、この本を読むといいと思うぞ、ワシは。
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野口: |
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そんなイライラしてる自分がイヤで落ち込んじゃってる人に最適ですね。
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