本の泉 清冽なる本の魅力が湧き出でる場所…

※2014/2/28以前の「本の泉」は、5%税込の商品価格を表示しています。
本体価格(税抜価格)はリンク先のHonyaClubなどでご確認ください。

第114回 2011年1月20日


●執筆者紹介●


磯野真一郎

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂 販売促進室
書籍仕入・販促担当

晴れて気持ちのいい休日は、
自転車で遠くの公園に出掛けて本を読んでいます。


加藤泉

「本の泉」執筆リーダー
有隣堂アトレ恵比寿店

仕事をしていない時は
ほぼ本を読んでいる
尼僧のような生活を送っている。

岩堀華江

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂厚木店
文芸書・文庫を担当

本と映画、そして音楽がないと生きていけないと思っています。

広沢友樹

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂アトレ新浦安店
文芸書・コミック等を担当

書評と建築、
そして居心地の良いカフェや図書館が好きです。

最新ページはこちら 本の泉ブログ
店舗情報のサイトはこちら 店舗Webサイト
バックナンバー
INDEXページ
「本の泉」の過去のページを全てご覧いただけます。 クリッククリック


~2011年も時代小説にはまる~
 
ここ数年の時代小説ブームは今年も続きそうです。数ある良作の中から「次回作が待ち遠しい!」作品を紹介します。
 

 
 まずは『春の館』から。本作で「第十六回歴史群像大賞優秀賞」を受賞し、作家デビューした新人の力作です。
物語は、行き倒れ寸前の藩士、毛受東馬とその娘志乃が、ある館の前で助けを求めるシーンから始まります。無事助けられた父娘は、館の人々と交流を深めます。やがて東馬は、商人から荷車の護衛を任され江戸に向かうことになります。館に戻った東馬ですが、事態はそこから思わぬ方向に進みます。
東馬や娘の志乃と館の人々との、心温まる触れ合いがとにかく素晴らしいです。また、時代小説には欠かせないチャンバラやロマンスも盛り込まれ、デビュー作とは思えない、読み応え十分な作品です。その才能に早くも次回作を期待してしまいます。

 

 
春の館・表紙画像
春の館


原田孔平:著
学研パブリッシング
680円(5%税込)

 続いては『花合せ』です。江戸・森田座の若手女形・梅村濱次は、才能はあるが欲がなく、稽古もさぼりがちな怠け者です。そんな濱次がある日突然、見知らぬ娘から奇妙な鉢植えを預かります。しぶしぶ受け取る濱次ですが、その鉢植えが勝手に「花合せ=品評会」に出品され、あげくの果てに盗まれてしまったのでさあ大変。焦った濱次は鉢植えを取り戻すべく町中を探し回ります。
ストーリーはもちろん、主人公の濱次をはじめ、苦言を呈しながらも濱次に目をかけている座元の森田勘弥、芝居茶屋の女将お好、裏方の清助、濱次の師匠の仙扇など、魅力的な人物も多数登場し物語を盛り上げます。濱次たちに早く会いたいので、是非ともシリーズ化を希望します。

 

 
花合せ・表紙画像
花合せ


田牧大和:著
講談社
520円(5%税込)

 最後は『信玄の軍配者』です。若き日の風魔小太郎が、ライバル達と切磋琢磨し成長していく姿を爽快に描いた前作『早雲の軍配者』から約一年。第2弾となる今作の主人公は山本勘助です。
小太郎たちと別れた後、長く不遇の時を送っていた勘助ですが、再び小太郎と出会い、己の進むべき道を思い出し、甲斐の国の大名、武田晴信(後の武田信玄)に仕えることになります。「軍配者」として着実に実績を上げる勘助でしたが、その前に難敵が立ち塞がります。武田軍の運命は、そして勘助がとった行動とは!?
合戦シーンはもちろん、戦国の世にあるからこそ際立つ、人間の「命」についても前作以上に語られており、物語に深みを持たせています。最後には、次回作への布石であろう描写もあり期待が膨らみます。

 

 
信玄の軍配者・表紙画像
信玄の軍配者


富樫倫太郎:著
中央公論新社
1,575円(5%税込)
 

文・ 磯野真一郎


書名や表紙画像は、日本出版販売(株)の運営する「Honya Club.com」にリンクしております。
「Honya Club.com 有隣堂」での会員登録等につきましては、当社ではなく日本出版販売(株)が管理しております。
ご利用の際は、HonyaClubの【利用規約】や【ご利用ガイド】(ともに外部リンク・新しいウインドウで表示)
を必ずご一読くださいませ。

前のページへ 次のページへ

<無断転用を禁じます。>

ページの先頭へ戻る