本の泉 清冽なる本の魅力が湧き出でる場所…

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第118回 2011年3月17日


●執筆者紹介●


岩堀華江

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂厚木店
文芸書・文庫を担当

本と映画、そして音楽がないと生きていけないと思っています。


加藤泉

「本の泉」執筆リーダー
有隣堂アトレ恵比寿店

仕事をしていない時は
ほぼ本を読んでいる
尼僧のような生活を送っている。

磯野真一郎

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂 販売促進室
書籍仕入・販促担当

晴れて気持ちのいい休日は、
自転車で遠くの公園に出掛けて本を読んでいます。

広沢友樹

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂アトレ新浦安店
文芸書・コミック等を担当

書評と建築、
そして居心地の良いカフェや図書館が好きです。

 


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甘味なる誘惑
 
疲れているとき、落ち込んでいるとき、甘いものを食べるとホッとします。
今回は、そんな人たちを癒してくれる素敵な和菓子が登場する本をご紹介します。


 
  まずは『告白』が大ベストセラーとなった湊かなえさんの最新刊『花の鎖』です。
物語は毎年届く「K」なる人物からの花束の謎から始まります。
元英語講師の梨花、結婚後に子どもができず悩む美雪、絵画講師の紗月、3人の女性のそれぞれの物語が交互に描かれており、彼女たちがこの先どう関わっていくのか?「K」とは一体誰なのか?とても興味をそそられる展開です。
『告白』のようなスリルも衝撃もありません。でも、今までの湊かなえ作品には無い、さわやかな読後感が心地よい、セカンドステージの幕開けにふさわしい1冊だと思います。
そして、3人の物語に必ず登場する老舗梅香堂のおいしいと評判のきんつば…。
恥ずかしながら、今、私の心は「花より団子」ならぬ、「花よりきんつば」なのです。


 
花の鎖・表紙画像
花の鎖

湊かなえ:著
文藝春秋
1,400円(税込)

  次は、和田はつ子さん『おとぎ菓子』です。
刀を包丁に持ち替えた元侍の料理人・季蔵が市井の人々のささやかな幸せを守るため、活躍する大人気シリーズの7作目です。現在、11巻まで刊行されていますが、この本だけ読んでも充分楽しめます。その後、最初から読みたくなるかとは思いますが…。
一膳飯屋「塩梅屋」を舞台に、とてもおいしそうな料理がたくさん出てきます。
千疋飯(ちりめんじゃこのかけご飯)や団子汁にカピタン漬けなどの鰯料理、白魚の天麩羅、蕗の佃煮など、思い浮かべるだけでお腹が鳴りそうです。
そして、最後は幼くして親を亡くした女の子のために、苦手な菓子に挑戦する季蔵。その子が大好きなおとぎ話をイメージして、求肥と白あんを練った練り切りを届けます。
料理の力を信じ、想いをこめて相手にピッタリの料理を作る姿は人情味にあふれ、時代劇好きにはたまりません。
ぜひともドラマ化して、すてきな料理の数々を再現していただきたいです。


 
おとぎ菓子
おとぎ菓子

和田はつ子:著
角川春樹事務所
580円(税込)

  最後は、私の大好きな坂木司さんの『和菓子のアン』をご紹介します。
デパ地下和菓子店みつやでアルバイトをすることになった主人公・梅本杏子(通称アンちゃん)。
見かけは上品そうな大人の女性、なのに中身はまるでオジサンの椿店長、職人志望のすらりとしたイケメンだけどかわいいもの大好き、乙女な男子の立花さん、今は普通のかわいい女子大生、実は元ヤンキーの桜井さん、プロフェッショナルだけど個性的な同僚とおいしい和菓子に囲まれ、お客様の謎めいた言動に振り回されながらも、充実した日々をおくっています。
花札とおはぎの意外な関係とは?そして、和菓子が「泣く」って?
実は和菓子はたのしい遊び心に満ちているのです。そして、和菓子がもつそれぞれの物語をひもとくことは、そのまま日本の歴史や文化にも繋がっていきます。
優雅でちょっとおちゃめな和菓子の世界に、あなたも足を踏み入れてはみませんか?


 
和菓子のアン・表紙画像
和菓子のアン

坂木司:著
光文社
1,890円(税込)
 

文・岩堀華江


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