本の泉 清冽なる本の魅力が湧き出でる場所…

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第17回 2007年1月9日

●執筆者紹介●


加藤泉
有隣堂読書推進委員。

仕事をしていない時はほぼ本を読んでいる尼僧のような生活を送っている。

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  第136回 直木賞予想
  (この鼎談はフィクションであり、実在する人物・小説上の人物とは関係ありません)
 
 
平尾才助
(55歳…書店員歴33)

悠木和雅
(44歳…書店員歴15年)

野口魚子
(33歳…書店員歴6年)
 平尾:   いよいよ直木賞候補作が発表になったな。
 
 悠木:   どの作品が受賞するか予想するため、急遽私達が召集されました。 この「本の泉」に登場するのは2回目ですね。
 
 野口:   毎度のことながら、直木賞予想は難しいですね。 過去2回、私達は見事に外しています。 ただ、私たちは本命・対抗・大穴と予想しなくてはならない辛い立場にいます。
 
 平尾:   前回同様、誰にも頼まれてないけどな。
 
 野口:   お客様が本をお選びになる際の目安の一つにしていただければ幸いです。
 
 悠木:   それでは、私たちが予想する本命から見てまいりましょう。
 

    本命・白石一文 『どれくらいの愛情
 

どれくらいの愛情・表紙画像
どれくらいの愛情
白石一文:著

文藝春秋
1,800円
(5%税込)

 平尾:   白石一文は初ノミネートだよな。 だったら受賞は難しいんじゃないか。
 
 悠木:   第123回では金城一紀がデビュー作『GO』で受賞している例もありますからね。 しかも、白石一文はこれまで候補にならなかったのがおかしいくらいの作家です。
 
 野口:   まぁ、版元で考えればこの作品が獲るでしょうね。
 
 平尾:   そういうことは言うなよ。 我々は純粋に作品で予想しているんだから。
 
 悠木:   確かに文藝春秋から出された作品が受賞する確立は高いですが、それにしても白石一文は巧いと思いました。 前回受賞した森絵都『風に舞い上がるビニールシート』と同じくらい、いや、それ以上のレベルの短編集だと思います。
 
 野口:   もしも白石一文が受賞したら、初の親子受賞ということで話題になるでしょうね。
 
 平尾:   おおっ、そうか。 白石一郎も直木賞作家だったよな(※『海狼伝』で第97回直木賞を受賞)。
 
 悠木:   いい話じゃないですか。 それは抜きにしてもガチガチの本命ですね。
 

    対抗・佐藤多佳子 『一瞬の風になれ 123
 

一瞬の風になれ 1・表紙画像
一瞬の風になれ
1
23
佐藤多佳子:著

講談社
各1,470円
(5%税込)

 悠木:   佐藤多佳子も初ノミネートです。
 
 野口:   去年の下半期は、青春陸上小説がブームのように出版されましたね。
 
 平尾:   その嚆矢となったのがこの作品だ。
 
 悠木:   私達も夢中になって読みましたからね。 毎月1巻ずつ発売になるのが楽しみで楽しみで。
 
 野口:   今までの私達なら、迷うことなくこの作品を本命にしてましたよね。
 
 平尾:   我々も大人になったということだ。
 
 悠木:   今まで上下巻ものの作品が直木賞を受賞したことはないんですよ。 まして、『一瞬の風になれ』は3巻ものですからね。 受賞はかなり難しいでしょうね。
 
 野口:   それでも対抗に予想してしまうあたりが私達らしいですね。
 
 平尾:   もしも『一瞬の風になれ』が受賞したら、お祭騒ぎになる書店は多いだろうな。
 

    大穴・荻原浩 『四度目の氷河期
 

四度目の氷河期・表紙画像
四度目の氷河期
荻原浩:著

新潮社
1,890円
(5%税込)

 悠木:   荻原浩は2回目の候補です。
 
 平尾:   この作品は一体どういう話なんだ?
 
 野口:   えっ! 平尾さん、読んでないんですか? 自分のことをクロマニヨン人の子供だと思っている少年が、興奮すると「ンボボ! ムバンバッ!」みたいな奇声を発する話です。
 
 平尾:   コメディーか。
 
 悠木:   違います! 確かに、クスッと笑ってしまうところもありますが、アイデンティティーについて深く考えさせられる作品です。 野口、君の説明もひどいぞ。
 
 野口:   すみません。 強烈に印象に残っていたもので。
 
 平尾:   どっちにしても、荻原浩は安定感のある作家だよな。 そろそろ獲ってもおかしくないな。
 
 野口:   大穴ですね。
 

    池井戸潤 『空飛ぶタイヤ
 

空飛ぶタイヤ・表紙画像
空飛ぶタイヤ
池井戸潤:著

実業之日本社
1,995円
(5%税込)

 悠木:   池井戸潤も初ノミネートです。
 
 平尾:   今回は実力のある初ノミネート作家が多いな。
 
 野口:   私は池井戸潤の作品を今回初めて読んだのですが、すごく面白かったです!
 
 悠木:   走行中のトレーラーのタイヤが脱輪して歩行者に直撃した死亡事故がありましたよね。 この作品はあの事故を下敷きにしています。
 
 平尾:   「小説好きの諸君! たまには直球の企業小説、読んでみてくれ」という帯の惹句が効いてるな。 プロジェクトXも顔負けの企業小説だ。
 
 悠木:   しかも随所に泣かせどころがあって、横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』を思い出すような巧さを感じました。
 
 平尾:   それはすごい褒め言葉だな。
 
 野口:   もっと多くの方に読んでほしい本ですね。
 

    北村薫 『ひとがた流し
 

ひとがた流し・表紙画像
ひとがた流し
北村薫:著

朝日新聞社
1,680円
(5%税込)

 悠木:   なんと、北村薫は4回目の候補です。
 
 平尾:   授賞時期を逃した感があるよな。 とっくに受賞していていい作家だぞ。
 
 悠木:   根強いファンがいる作家ですからね。 授賞を望む声は多いと思います。
 
 野口:   今回候補になった『ひとがた流し』は40代の女性の友情をテーマにしています。 第132回で直木賞を受賞した角田光代『対岸の彼女』に通じるものもあるかと思います。
 
 平尾:   『対岸の彼女』に比べると、だいぶ「泣ける」話だな。 それが吉と出るか凶と出るか、難しいところだな。
 

    三崎亜記 『失われた町
 

失われた町・表紙画像
失われた町
三崎亜記:著

集英社秋
1,680円
(5%税込)

 悠木:   三崎亜記は2回目の候補です。
 
 平尾:   デビュー作『となり町戦争』でノミネートされた時は驚いたけどな。 しかしこの『失われた町』で実力が証明された感じだな。
 
 悠木:   はい。 私、個人的にはこの作品が本命です。
 
 野口:   一つの町が消滅する、という発想がすごいですよね。 残された人の喪失感を描いているという点では、伊坂幸太郎の『終末のフール』に通じるものがありますね。
 
 平尾:   いつか必ず受賞する作家だな、三崎亜記は。
 
 悠木:   以上、言いたい放題の三人でしたが、どの作品が直木賞を受賞しても、しなくても、その作品のもつ輝きは変わらないということはじゅうぶん承知しております。
 
 野口:   候補になるだけでもすごいことですよね。 今回の候補作はいずれもすばらしい作品です。
 
 平尾:   この座談会が、お客様が本をお選びになる際のヒントになれば幸いでございます。
 
 悠木:   最後に平尾さん、芥川賞の予想は?
 
 平尾:   本命が佐川光晴、対抗が星野智幸、大穴が柴崎友香。
 
 野口:   第136回直木賞、芥川賞ともに、発表は1月16日の夜です! 皆様、お楽しみに!
 
 
文・読書推進委員 加藤泉
構成・宣伝課 矢島真理子

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