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第38回 2007年11月15日

●執筆者紹介●


加藤泉
有隣堂読書推進委員。

仕事をしていない時はほぼ本を読んでいる尼僧のような生活を送っている。

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〜働くガールたちへ Part2〜

第26回の「本の泉」で、「働くガール達へ」と題して、おもに働く女性におすすめしたい本をご紹介したが、今回はその続編をお届けしようと思う。
10月から始まったドラマ『働きマン』に夢中な方には、是非今回ご紹介する3冊もお読みいただきたい。

 まず初めに、桂望実『女たちの内戦(セルフ・ウォーズ)』。
タイトルを見て、篠田節子の名著『女たちのジハード』を思い出す方も多いと思うが、本書はまさに平成版『女たちのジハード』と言ってもいい短編集。

結婚に焦る29歳のOL、子供に手が掛からなくなり何か始めなくてはと迷い始める34歳の専業主婦、結婚に興味が持てない39歳のキャリアウーマン、資金繰りに苦労する45歳のブティックオーナー。
主人公たちの目を通して、それぞれのステージで現代の女性たちが直面する問題が象徴的に描かれている。

自分だけ何をやってもうまくいかない、と思う時は誰にでもあるだろう。
特に女性は、仕事を選んでも家庭に入っても、自分の選んだ道は正しかったのかどうかという迷うことが一度はあるだろう。
そういう時は是非この本を読んでほしい。
少なくとも、悩んでいるのは自分だけではないということが見えてくるはずだ。
 
 
女たちの内戦・表紙画像

女たちの内戦

桂望実:著
朝日新聞社
1,470円
(5%税込)

 次にご紹介するのは、碧野圭『ブックストア・ウォーズ』。
デビュー作『辞めない理由』でワーキングマザーのリアルをこれでもかというほど見せてくれた著者の第2作は、書店が舞台のお仕事小説だ。

犬猿の仲である40歳の女性店長と27歳の女性店員が閉店の危機に直面し、一致団結して奮闘する、という内容。
書店で働く者としては耳の痛い部分も多々あるのだが、本屋という場所が好きなお客様には真の姿を知っていただける良い機会かもしれない。
(と言っても、この小説の舞台となった書店のモデルは有隣堂ではないということは書き添えておきたい。)

書店が舞台ということばかりがフィーチャーされがちな本書であるが、本書の面白さは窮地に立たされた時にいかに人が奮起するのか、というところにある。
書店に限らず、全ての働く女性を元気にさせてくれる1冊だ。
 
 
ブックストア・ウォーズ・表紙画像
ブックストア・ウォーズ

碧野圭:著
新潮社
1,470円
(5%税込)

 松方弘子のような働きマンになれなくてもいいから、とにかく今はのんびりした時間が欲しい、という切実な願いを持つ方には、フジモトマサル『二週間の休暇』を。
優しげな絵を見ているだけで強張った心がほどけてくる大人向けコミック。

読み始めてすぐ、鳥が喋っている…とギョッとするが、それもそのはず、ハードワークに疲れきった主人公が迷い込んだのは鳥の国。
記憶を失った主人公が、不思議な体験を通じて大切なことに気づいたり思い出したりする、というお話。

何もかも忘れてどこかへ行きたい!と思ったときは、是非この本を手に取っていただきたい。
2週間の休暇を取るのは無理でも、この本を読む数十分の時間は、2週間分の価値がある。
 
 
二週間の休暇・表紙画像

二週間の休暇

フジモトマサル:著
講談社
1,300円
(5%税込)
 

文・読書推進委員 加藤泉
構成・宣伝担当 矢島真理子

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