Web版 有鄰

532平成26年5月10日発行

日本サッカーの発展のために – 海辺の創造力

名良橋 晃

現在の日本のサッカーは私の子供時代や現役時代に比べて、いろいろな部分において、世界との距離が明らかに近づいていると感じます。年々、日本のサッカーのレベルは着実に上がっていて、2010年のワールドカップ以降多くの日本人選手が海を渡り海外のリーグで活躍しており、子供達にとっても大きな目標となっています。いつか日本代表がワールドカップで優勝できる日が来るのではないかと期待されていますが、そのためには日本のサッカーのレベルをこれまで以上にもっと上げていかなくてはなりません。これは技術だけではなく、選手やクラブを取り巻くすべての環境を含めたサッカー界全体に言えることです。

日本サッカー界全体となると、まずベースになるのはJリーグでしょう。プロフェッショナルリーグとして、Jリーグの「質」を上げることで、その下に続くリーグを引っ張り、日本のサッカー界全体のレベルアップにつながると思います。

では、その「質」とは具体的にはどのようなことでしょうか。私は、技術、意識、環境などすべてのレベルが高く整った“魅力的な状態”であることだと思います。Jリーグは、若者が将来その環境でプレーすることを夢見るような、海外リーグにも負けない魅力ある憧れの場所にならなくてはなりません。ではその魅力のあるリーグとなるためにはどうすればよいのかを考えると、答えはとてもシンプルです。それは、リーグに関わるすべての者が同じ方向を向き、各立場でできることを追求することであると思います。

各クラブはJリーグの理念である地域密着に基づき、地域やサポーターに愛されるチームになることを目標に運営していく。また、サポーターがスタジアムに足を運んで応援したいと思うような選手を育てることも重要でしょう。指導者たちは最先端の技術を取り入れ、スポンサー企業は選手たちがサッカーだけに集中してトレーニングをできるような環境を整えるために様々な方法でサポートをしていく。そして、選手たちは、サッカーはピッチにいる11人だけで戦うスポーツではなく、こういった多くの支えがあって初めて戦いの場に立てていることを感じながら、日々トレーニングに励まなくてはなりません。技術を磨くことはもちろん、その技術をピッチ上で100%出しきることが彼らの役割です。こうしてより良い魅力的な状態を作り続けることで、将来世界と戦えるようなレベルの高い選手たちがJリーグでプレーしたいと感じ、その中で他の選手たちと切磋琢磨し合ってお互いのレベルを上げていく、選手として、人間としてそこで育って行くことができたら理想的だと思います。

Jリーグのため、日本のサッカーのために私がやるべきことは何か。

私は現在指導者として子供達にサッカーを教えていますが、常に新しい戦術や技術を学び、より良いと感じたものを自分流にアレンジして指導しています。また、一人ひとりの個性や特徴を伸ばすと同時に、チームスポーツで大事になってくる周りへの心配りや感謝の姿勢といった人間性の部分も気をつけて指導するよう心がけています。一人でも多くの魅力あるプロサッカー選手を育てることが私の役割であると信じ指導に当たっています。微力ながらも私の力がこれからの日本サッカー界の発展に少しでも貢献できれば嬉しく思います。

(元サッカー日本代表選手)

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