本の泉 清冽なる本の魅力が湧き出でる場所…

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第120回 2011年4月14日


●執筆者紹介●


加藤泉

「本の泉」執筆リーダー
有隣堂アトレ恵比寿店

仕事をしていない時は
ほぼ本を読んでいる
尼僧のような生活を送っている。

 


 

磯野真一郎

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂 販売促進室
書籍仕入・販促担当

晴れて気持ちのいい休日は、
自転車で遠くの公園に出掛けて本を読んでいます。

岩堀華江

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂厚木店
文芸書・文庫を担当

本と映画、そして音楽がないと生きていけないと思っています。

広沢友樹

「本の泉」執筆メンバー
有隣堂アトレ新浦安店
文芸書・コミック等を担当

書評と建築、
そして居心地の良いカフェや図書館が好きです。

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~有隣堂スタッフが選んだ我が心の本屋大賞2011~

4月12日、第8回本屋大賞が発表になりました。
大賞受賞作は東川篤哉『謎解きはディナーの後で』(小学館)です。
今年も有隣堂スタッフ有志に “私にとっての本屋大賞2011はこの作品!” を選び、熱く語ってもらいました。
本屋大賞ノミネート作だけでなく、この中の本も是非お読みになってください!


 (書名五十音順)
 

青い野を歩く・表紙画像
青い野を歩く


2,310円(税込)
   クレア・キーガン 『青い野を歩く (白水社)

物語全体に漂う「孤独」が美しい短編集。

表題の「青い野~」はまるで映画を見ているようです。
昔の恋人の結婚式をとり行う神父。
式は穏やかにすすんでゆく。
花嫁の真珠のネックレスがちぎれて神父がその一粒を拾う。
花嫁に手渡す一瞬・・・。

夜の冷たさや人々のささやきまで伝わってきます。

(アトレ目黒店 酒井ふゆき)

いちにち8ミリの。・表紙画像
いちにち8ミリの。


1,365円(税込)
   中島さなえ 『いちにち8ミリの。(双葉社)

中島らもファンの私としては、その娘の初小説ということで、楽しみな反面、裏切られたらイヤだなあという思いで読み始めました。結論「ありがとうらもさん!すばらしい娘を残してくれました」。標題「いちにち8ミリの。」は好きな女性に会いたい一身で一日8ミリづつ動く‘石’の話。独特の発想と文章センスの良さに次作を期待せずにはおれません。

(ルミネ町田店 渋沢良子)

オラクル・ナイト・表紙画像
オラクル・ナイト


1,890円(税込)
   ポール・オースター 『オラクル・ナイト(新潮社)

本屋大賞・外文編で選んでみました。
ある作家が散歩途中に、小さな文具店で一冊の青いノートを見つける場面がこの魅惑的な物語の始まりです。
そこからオースターの描く虚構の世界にいつの間にか入っていて、心地好い魔法にかけられ、自分の居るこの世界も、彼の紡ぐ物語の一つになったような感覚に陥ります。

(横浜駅西口店 天羽雅代)

逆に14歳・表紙画像
逆に14歳


1,785円(税込)
   前田司郎 『逆に14歳(新潮社)

実に面白い。死から逆算してあと14年位しか生きられない(と思われる)70歳を過ぎた老人の物語。本音と妄想とボケの入り混じった独白や軽妙でユーモラスな会話に、思わずニヤっとしてしまう。恋や性を再体験していく主人公達の一所懸命な姿は、まるで14歳の少年のように輝いて見える。
老いは悲観や絶望ではない、楽観と希望を友として死ぬまで生き続けるのだという作者のメッセージは、ズシンと心に響いてくる。
黒井千次の「高く手を振る日」と共に2010年の“老人小説”の収穫だ。

(店売事業部 中村努)

桐島、部活やめるってよ・表紙画像
桐島、部活やめるってよ


1,260円(税込)
   朝井リョウ 『桐島、部活やめるってよ(集英社)

年に40冊近く本を読んでいると、もはや何を読んだか思い出すのは至難の業だが、
それでもパッと思い浮かんだ『桐島、部活やめるってよ』は、やはり私の心に強く響いていたのだ。
大学生の作者だからこそ描けた等身大の青春。リアルなひたむきさに胸打たれ、キュンとなってしまうことうけあいである。

(横浜駅西口店 佐藤正博)

四十九日のレシピ・表紙画像
四十九日のレシピ


1,470円(税込)
   伊吹有喜 『四十九日のレシピ(ポプラ社)

妻から手渡された弁当の袋には、コロッケサンドのソースが染み出していました。そんな些細なことに怒鳴ってしまった熱田良平にはこのとき、71歳になる妻乙美の寂しげな表情が、彼女の最後の姿になるなんて思いもよらなかったのです。この物語は、後妻であった乙美の、夫とその娘への大きな愛情と、「乙美よ、お前は幸せだったのか?」と、妻への届かぬ言葉への応えを探し続ける良平の想いが胸に切なく迫り、涙が溢れてくるのです。

(アトレ新浦安店 広沢友樹)

白い花と鳥たちの祈り・表紙画像
白い花と鳥たちの祈り


1,575円(税込)
   河原千恵子 『白い花と鳥たちの祈り(集英社)


この小説に出てくる中村さんの不器用さがイタい。机の周りにポストイットを貼って、忘れないように失敗しないように仕事をしている姿に、涙が出てくる。学校でも家庭でも、居場所を失くした主人公のあさぎが、そんな中村さんの笑顔に救われる。優れた小説は、人の心の痛みをきちんと描いている作品だと思う。一番のお薦め。

(川崎BE店 佐伯敦子)

世界でいちばん長い写真・表紙画像
世界でいちばん長い写真


1,365円(税込)
   誉田哲也 『世界でいちばん長い写真(光文社)

田舎町の冴えない男子中学生、写真部所属。長~い写真が撮れるカメラで何を撮ろうか思案中・・・何ともヌルいお話なのですが「あれれ?何でだ?」てな位読んでてワクワクしちゃいました。主人公の宏伸クン、最後に感動的な大活躍を見せるのですがそれによってヘンに人間的に成長したりしないのがイイ!
そうそう、そんなもんっだよ中学生時代ってヤツは。人気作家誉田哲也の最高傑作!個人的にはそう思っとります。

(横浜駅西口店 梅原潤一)

早雲の軍配者・表紙画像
早雲の軍配者


1,785円(税込)
   富樫倫太郎 『早雲の軍配者(中央公論新社)

私を戦国時代&時代小説好きにさせたこの作品を紹介せずにはいられません!
戦国時代を舞台に、若者の成長物語を、師や家族、友人、ライバルとともに爽快に描いた作
品です。登場人物のキャラクターが素晴らしく、時代小説初心者の方でも十分に楽しめます。
続編も刊行されており、今後ますます注目される作品になること間違いなしです。

(販売促進室 磯野真一郎)

つるかめ助産院・表紙画像
つるかめ助産院


1,470円(税込)
   小川糸 『つるかめ助産院(集英社)

読み進めていくといつの間にか青い空と輝く太陽とさざ波の音が聞こえてくる南の島にいるような気持ちになり心を穏やかにしてくれました。
当たり前の事だけれども命の大切さを教えてくれ、生命が生まれてくる感動を強く感じさせてくれたすばらしい作品です。
また、出産の経験のない私は人生において大きな損をしていると思いました。
ぜひとも多くの女性に読んで頂きたい傑作です。

(川崎BE店 大嶋慶子)

漂砂のうたう・表紙画像
漂砂のうたう


1,785円(税込)
   木内昇 『漂砂のうたう(集英社)

明治維新に取り残された遊廓という舞台。波の下で漂う砂のような男と女。
滅びゆくものの哀れを感じさせる傑作だと思います。

(アトレ恵比寿店 加藤泉)

モンスター・表紙画像
モンスター


1,575円(税込)
   百田尚樹 『モンスター(幻冬舎)

とにかく悲しかった。
女の情念というものは、何故こんなにも醜く、せつなく、そして悲しいものなのだろうか。
街で「モンスター」と呼ばれた主人公・未帆。彼女が上京して整形手術を繰り返し絶世の美女と生まれ変わったのにはワケがある…。
著者は自伝的小説「錨をあげよ」で大賞ノミネートされたが、私はこの小説の方を力強くおすすめしたい。

(藤沢店 菅野貴子)

リアル・シンデレラ・表紙画像
リアル・シンデレラ


1,785円(税込)
   姫野カオルコ 『リアル・シンデレラ(光文社)

シンデレラってどうよ?
自発的な努力はせず、受身のまま幸せを掴むシンデレラってどうよ?
そんな流れで始まるこの女性一代記に、冒頭から夢中になりました。
決して意地の悪い内容ではなく、主役を通して個々の幸せってどこにあるんだろう?と問いかける1冊。
「他の人の靴をはいて歩いてはいけない」という一文がやたら胸に響きます。

(アトレ目黒店 倉田裕子)

恋愛小説・表紙画像
恋愛小説


1,680円(税込)
   椰月美智子 『恋愛小説(講談社)

他人の恋愛なんて正直どうでもいいのだけど、恋愛小説というジャンルが存在し愛される理由は、他人の恋愛をちょっと覗きたいからなのではないかと思う。
恋愛中の本当にくだらない出来事から、修羅場(メガネ右耳ぶら下がり事件)まで余す事なく二人の恋愛の一部始終が覗ける、愛着がわかずににはいられないまさに「恋愛小説」!覗けるどころか、親友の恋愛相談を聞いている感じ。本気で恋愛しよう!と思える1冊。

(横浜駅西口店 岩井静花)


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