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第91回 2010年2月4日


●執筆者紹介●


加藤泉
有隣堂読書推進委員。

仕事をしていない時はほぼ本を読んでいる尼僧のような生活を送っている。

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  〜この新人作家に注目!〜
  (この鼎談はフィクションであり、実在する人物・小説上の人物とは関係ありません)
 
 
平尾才助
(55歳…書店員歴33年)

悠木和雅
(44歳…書店員歴15年)

野口魚子
(33歳…書店員歴6年)
  平尾:   直木賞予想以外の回に我々が招集されるとはな。
 
  野口:   一体どういう風の吹き回しでしょう?
 
  悠木:   その直木賞予想ですよ。 先日の私達の予想が大ハズレだったじゃないですか。 我々の生みの親がかなり叩かれたようですよ。 特に野口、お前の一言が相当やばかったらしいぞ。
 
  野口:   あら、それは大変! どうしましょう。
 
  平尾:   あいつはそんなことぐらいで怯むタマじゃないさ。
 
  悠木:   せめてもの罪滅ぼしということで、今回は我々が総力をあげてこれから注目すべき新人作家をご紹介せよ、と指令が下りました。
 
  平尾:   そういうことか。 じゃ、頑張ろうぜ。
 



マタタビ潔子の猫魂・表紙画像
マタタビ潔子の猫魂

朱野帰子:著

メディアファクトリー
1,260円
(5%税込)

   朱野帰子 『マタタビ潔子の猫魂』(メディアファクトリー)
 
  悠木:    それでは1人1作品推薦していくことにいたしましょう。 まず最初に野口から。
 
  野口:   はい。 私は第4回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作の『マタタビ潔子の猫魂(ねこだま)』をおすすめします。 漫画家の東村アキコさんの装丁が目を引く1冊です。
 
  平尾:   どういう内容なんだ?
 
  野口:   主人公は、地味で無口な派遣社員の潔子です。 溜めに溜め込んだ彼女のストレスが頂点に達した時、飼い猫の魂が潔子に憑依して復讐を果たしていくというお話です。 あ、短編集です。
 
  平尾:   怖いなあ。 「うしろの百太郎」か?
 
  悠木:   私も読みましたがそれほどおどろおどろしい感じではないです。 イメージとしては藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』に近いですかね。 しゃばけシリーズとか好きな人にもおすすめかも。
 
  野口:   とにかく胸がスカッとするエンタメです。 猫好き1人暮らし独身女性の方には特におすすめします。
 
  平尾:   へえ。 私も読みたくなってきたぞ。
 
  野口:   あと、著者・朱野帰子さんのコメントが揮っています。 「怒るほどではないけれど決して許せぬ人がいる。 恨みに取り憑かれた貴方に、この本を捧げます。 」だって。 いいでしょう〜。
 
  平尾:   やっぱり読むの怖くなってきた!
 



花や散るらん・表紙画像
ベンハムの独楽

小島達也:著

新潮社
1,365円
(5%税込)

   小島達也 『ベンハムの独楽』(新潮社)
 
  平尾:    次は悠木からのおすすめです。
 
  悠木:   いやあ、最近新人作家の良い作品ばかり読んでいるので、何を紹介しようか本当に悩みます。
 
  平尾:   1人1冊って決めたのはお前だぞ。
 
  悠木:   そうなんですよねえ。 「このミステリーがすごい! 」大賞を受賞した『さよならドビュッシー』も『トギオ』もどっちも良かったし、日本ファンタジーノベル大賞の『増大派に告ぐ』も素晴らしかったし。 う〜ん、悩むなあ。
 
  平尾:   早くしろ。
 
  悠木:   やっぱりこれかな。 小島達也『ベンハムの独楽』ですね!
 
  野口:   第5回新潮エンターテインメント大賞受賞って帯に書いてありますね。 この賞って面白いんですよね。 選考委員は旬の作家1人だけなんです。
 
  平尾:   今回は荻原浩が選んでいるのか。
 
  野口:   荻原浩が選んだ作品なら面白そう!
 
  悠木:   もうね、冒頭の、ふたつの肉体にひとつの魂をもった姉妹の話から引き込まれましたね。 星新一や眉村卓が好きな人にはとにかくおすすめです。 不思議な味わいの短編集なのですが、巧い具合に連作になっています。 読み終わった後すぐにもう一度読み返したくなる。 これは本当にすごい。 新人作家とは思えない!
 
  平尾:   偉い褒めようだな。
 
  野口:   ほんと。 悠木さんがこんなに褒めるなんて。 読むしかないですね。
 



ほかならぬ人へ・表紙画像
桐島、部活やめるってよ
朝井リョウ:著

集英社
1,260円
(5%税込)

   朝井リョウ 『桐島、部活やめるってよ』(集英社)
 
  野口:    最後は平尾さんからのおすすめです。
 
  平尾:   私のおすすめは、第22回小説すばる新人賞受賞の『桐島、部活やめるってよ』。 んも〜、これほんとに最っ高! !
 
  悠木:   やけに興奮してますね。
 
  平尾:   いや、これ、マジすげえよ! って、私まで高校生みたいな話し方になってしまうほど素晴らしい青春小説だ。
 
  悠木:   タイトルから察するに、桐島くんという子が部活を辞めるお話なんですか?
 
  平尾:   キャプテンの桐島がバレーボール部を辞めるってとこから始まるんだけどな、バレーボール部だけの話ではなくて、野球部、ブラスバンド部、女子ソフトボール部、映画部に所属している5人の高校生を主人公にした連作短編集なんだ。
 
  野口:   実は私も読んだのですが、すばらしかったですよ! 特に映画部に所属するイケてない男の子を主人公にした章がすごく身にしみました! 私も体育の時間は気配を消していましたもん。 中学生や高校生の頃って、クラスがグループ分けされてて、「上」のグループと「下」のグループみたいに階級っぽくなってたじゃないですか。 そういう空気がすごくよく伝わってきました。
 
  平尾:   そうだな。 “イケてない青春小説の名手”豊島ミホの作風によく似ているかもな。
 
  悠木:   豊島ミホですか! それは読まなくては。
 
  平尾:   なんだよ〜、お前、ひょっとして豊島のこと好きなんじゃん?
 
  野口:   その、エセ高校生みたいな話し方、いい加減やめてください。
 


 
  悠木:    いかがでしたでしょう。 今回の「本の泉」。 少しは罪滅ぼしになったでしょうか。
 
  平尾:   まあ、今回紹介した3冊は自信を持っておすすめできるな。
 
  野口:   今回、私変なこと言ってないですよね。
 
  平尾:   我々の使命はお客様に少しでも文芸書に興味を持っていただくことだからな。 そこがブレなければ大丈夫だ。
 
  悠木:   それでは、これからも面白い本を紹介できるよう努力精進してまいりましょう!
 
 
文・読書推進委員 加藤泉

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