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第107回 2010年10月7日


●執筆者紹介●


加藤泉

有隣堂読書推進委員。

仕事をしていない時はほぼ本を読んでいる尼僧のような生活を送っている。


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~恋のお悩み相談室~

今回の「本の泉」は、恋に悩む読者の方々にぴったりの本をお勧めしていこうと思います。


 
私は今まで男性と付き合った経験がありません。
中学生の頃からずっと片思いし続けているAさんがいるからです。そんな私に、最近職場の同僚の男性Bさんが言い寄ってきます。その人のことは悪い人だとは思わないのですが、Aさんのことが忘れられません。
年齢的に、そろそろ結婚のことも考えなければいけません。どうしたらいいでしょうか。(26歳・女性)


まず、あなたはAさんのどこが好きなのでしょうか?
お付き合いしたことがあるわけではないのですよね?ということは、あなたの頭の中でAさん像が勝手に理想化されている可能性もありますね。一途に誰かのことを思い続けるというのは、一見、理想を追い続ける美しい生き方のように感じられますが、たいがいの場合、自己満足であることが多いものです。
それに、ひょっとしたらBさんがあなたの運命の人かもしれません。でも、自分のことを好きになってくれた相手の思いを信じて受け容れるというのは、受動的に見えますが、実はとても勇気のいることです。
綿矢りさ『勝手にふるえてろ』を読んで、あなたに一番合った道を探ってみてください。

  勝手にふるえてろ・表紙画像
勝手にふるえてろ

綿矢りさ:著
文藝春秋
1,200円
(5%税込)


僕が交際しているAさんには双子の妹Bさんがいます。清純でつつましいAさんと違って、Bさんは自由奔放なタイプです。僕が愛しているのはもちろんAさんです。いずれは結婚したいと思っていますが、Bさんの存在が最近気になって仕方ありません。どうしたらいいでしょうか?(27歳・男性)


顔がそっくりなのですから、Bさんのことも気になるのは止むを得ません。また、交際相手にはないものを他の女性に求めてしまうのは男性の性(さが)でもありましょう。ですが、やはりきちんとけじめをつけてAさんを大事にしてあげるべきでしょう。そうしないと、おそらくあなた自身が痛い目を見ることになるからです。あまり多くは申しません。ただ、乾くるみ『セカンド・ラブ』を読んで、じっくり考えてみてください。

 
セカンド・ラブ・表紙画像
セカンド・ラブ

乾くるみ:著
文藝春秋
1,500円
(5%税込)


この歳になって付き合っている男性と別れてしまいました。というか、フラレてしまいました。「君にはもう付いていけない」と言われました。これから先、自分はずっと一人なのではないかという気がして、不安で仕方ありません。(36歳・女性)


まず最初に申し上げておきますが、私にはあなたの不安を解消することはできません。
「そんなことないですよ。あなたにはきっとまたいい人が現れますよ」と言うことは簡単ですが、それがあなたの悩みに対する回答になるとは思えません。
ただひとつ言えるのは、人は誰でも「一人」であるということです。私も一人です。たとえあなたに今後良きパートナーが現れたとしても、いずれ必ず別れの日が訪れます。その時のためにも、「二人」であるというよりも「一人」と「一人」なのだと思っておいたほうが、きっとあなたにとっても相手にとっても幸せなのではないかと思います。
私に言えるのは、ただひとつ。ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』を読んでみてください。人はみんな孤独なんだということが分かるだけで、きっと気持ちが軽くなるはずです。
 
いちばんここに似合う人・表紙画像
いちばんここに
似合う人


ミランダ・ジュライ:著
岸本佐知子:訳

新潮社
1,995円
(5%税込)
 


文・読書推進委員 加藤泉


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