

小さいおうち
中島京子:著
文藝春秋
1,660円
(5%税込)
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本命・中島京子 『小さいおうち』(文藝春秋)
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悠木: |
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中島京子は初ノミネートです。 |
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平尾: |
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今回も我々は賭けに出たってわけか。 |
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野口: |
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中島さんは今まで候補にならなかったのが不思議なくらいの作家です。 この作品で受賞しても全く驚きません。
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平尾: |
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初候補で受賞したケースは過去にあるのか? |
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悠木: |
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それがけっこう多いんですよ。 現役の作家で挙げると、小池真理子、高村薫、乃南アサ、村山由佳、山本文緒、唯川恵などがいます。 あえて女性作家だけにしぼってみましたが。 ただ、ここ5年間は初候補で受賞したケースはありません。 |
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平尾: |
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ほお。 それはひょっとしたらひょっとするかもしれないな。 装丁もいいし。 |
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野口: |
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作品の完成度から言っても『小さいおうち』は文句ないと思います。 |
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悠木: |
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タキさんというお婆さんが昭和初期の女中奉公時代の思い出を書き綴る、という体裁をとっています。 奉公先の奥様をめぐる秘められた恋のゆくえが、太平洋戦争の情勢と呼応するように描かれています。 |
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平尾: |
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手が込んだ作品だよな。 バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』が出てくる最終章は読んでてゾクゾクしたぞ。 |
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悠木: |
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中島京子さんには、田山花袋の『蒲団』を現代に甦らせた『FUTON』や、『日本奥地紀行』で有名なイザベラ・バードを題材にした『イトウの恋』という作品があり、いずれも素晴らしい作品です。 この『小さいおうち』はその流れを汲む、まさに中島さんの真骨頂と言っていい作品だと思います。 |
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野口: |
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はい。 それに、この小説の中には「東京會舘」という言葉が出てくるんです! |
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平尾: |
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それがどうした? |
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野口: |
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東京會舘は直木賞受賞式の会場なんですよ! これは隠された暗号なんです!
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平尾: |
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そうか。 それじゃあ我々の予想する本命は『小さいおうち』に決定!
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