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第121回 2011年5月5日 |
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新しい世界をのぞいてみる | |||||||||||||||
本を読むことで、今まで知らなかった世界をのぞくことができます。 今回私がのぞいた世界は「将棋」です。まだ将棋を指すまでいきませんが、その面白さや奥深さを知ることができました。 |
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![]() 新聞社の社会部所属の秋葉は、他社に先駆けて特ダネを抜くことに命を懸けていましたが、度重なる失敗により囲碁将棋担当に左遷になります。ルールもなにもわからず途方にくれる秋葉でしたが、真田(表紙の男)との出会いにより、少しずつ将棋にのめりこんでいきます。その真田は、極貧生活を続けながら、なんとかプロ棋士になろうともがき続けている33歳の無職で独身男。プロへの編入試験の最終局面を迎え、絶対に負けられない崖っぷちの真田が指した最後の一手とは!? 将棋を知らなかったので、専門用語がでてきたらどうしようと不安がありましたがまったく問題ありませんでした。みじめだけど熱い男の成長物語が、大胆な構成と、関西弁のリズムよい会話に引き立てられ、あっという間に読み終わりました。 |
![]() 盤上のアルファ ![]() 塩田武士:著 講談社 1,575円 (5%税込) |
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![]() 棋士は細かくデータ分析し、何通りものパターンを頭に入れ、常に何百手先まで読んで指しているというイメージですが、それで勝てるのは若いうちだけだそうです。年齢を重ね、経験を積むとむしろ「いかに読まないか」が重要になってくると言います。 一流と呼ばれる棋士は、盤面を見て終盤の形を予想し、現時点で最も有効であろう2、3手を即座に思い浮かべることができるそうで、数千はある残りの手はばっさりと捨ててしまうそうです。部分を細かく検証するのではなく、全体を見てそこから最適解を導き出す「大局観」が重要なのだそうです。「大局観」を掴むことができた私はまだまだ成長するとおっしゃる羽生さん、参りました。 |
![]() 大局観 自分と闘って負けない心 ![]() 羽生善治:著 角川書店 760円 (5%税込) |
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![]() 主人公の桐山零は17歳の現役高校生のプロ棋士です。(『盤上のアルファ』の真田とは大違い)幼いころに両親を亡くし、プロ棋士である養父に引き取られた零は、そこで棋士としての才能を開花させます。 両親のいない孤独感と、その才能ゆえに悩み続ける零ですが、彼を暖かく見守る川本家との生活や、零と同様に様々な過去を背負う棋士達との出会いを重ね、少しずつ前に進んでいきます。 将棋を通じて一人の少年の葛藤と成長を描くこの作品は、著者の代表作『ハチミツとクローバー』で獲得した多くの読者の期待をいい意味で裏切るとともに、更にファンを増やしています。現在5巻まで発売されており、2011年度のマンガ大賞にも選ばれました。 |
![]() 3月のライオン (1~5巻 続刊中) ![]() 羽海野チカ:著 白泉社 490円~510円 (5%税込) |
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文・ 磯野真一郎
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