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第111回 2010年12月9日 |
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「本の泉」執筆チームが選んだ“2010年の3冊” | |||||||||||||||||
今回の「本の泉」は、新生「本の泉」執筆チームのお披露目も兼ねまして、メンバーが選んだ“2010年の3冊”をご紹介いたします。 |
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![]() ![]() 講談社 2,520円(5%税込)
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黒岩比佐子 『パンとペン』 サブタイトルは「社会主義者・堺利彦と『売文社』の闘い」。 |
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![]() ![]() 新潮社 1,995円(5%税込)
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ミランダ・ジュライ 岸本佐知子:訳 『いちばんここに似合う人』 人には誰にでもどこかしら「変」な部分があり、その延長線上には「孤独」があるということを教えてくれた短編集です。――「人はみな孤独だ。だが孤独を通じてつながることができるのかもしれない」(訳者あとがきより)この言葉にどれだけ救われたことか。この本があればもう寂しくない。 |
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![]() ![]() 新潮社 1,890円(5%税込)
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葉室麟 『橘花抄』 藩の御家騒動に巻き込まれながらも、己の信念を曲げず凛とした登場人物たちの姿に清々しさを覚えました。葉室麟さんの小説を読むといつも、強い人間とはどういう人か考えさせられます。そして、背中を押してくれるような文言に必ず出会えます。本書の中では、「花の美しさは生き抜こうとする健気さにあるのです」という台詞が特に印象的でした。各章のタイトルも花の名前で統一されており、構成も装丁も美しい1冊です。 (アトレ恵比寿店 加藤泉)
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![]() ![]() 中央公論新社 1,785円(5%税込) |
富樫倫太郎 『早雲の軍配者』 まずは、小説から。時は戦国時代初期。伊豆・相模を平定した北条早雲は、愛弟子の風魔小太郎を一人前の「軍配者」に育てるべく、日本最古の軍事学校「足利学校」へと送り込みます。
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![]() ![]() 中央公論新社 1,785円(5%税込) |
中嶋茂夫 『山手線と東海道新幹線では、どちらが儲かっているのか?』 続いてはビジネス書です。いまや日本人の生活に欠かせない鉄道を経営面から捉えます。タイトルにもなった、山手線と新幹線の利益構造の違いや、寝台特急が減った理由、大阪では未だに何十年も前の車両が走っている理由など、普段はあまり気に掛けない鉄道会社の儲けのカラクリがわかります。随所に鉄道トリビアも語られていて「へえ~」を連発してしまいました。いつもの通勤電車が、儲けの仕組みを考える勉強の場に変わりました。
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![]() ![]() 河出書房新社 2,100円(5%税込) |
佐々木中 『切りとれ、あの祈る手を』
最後は評論です。本書を読んで、ショーペンハウエルの「読書について」というエッセイを思い出しました。悪書をいくら読んでも無駄。よく思索された書物を読み、その内容について自分でも熟慮せよ、という内容です。本書も、読書とは、読んでわかってしまったら自分が狂ってしまうかもしれないもの、といいます。情報の羅列は文学ではなく、読んだら自分が、もしくは世界が変わってしまうかもしれないものが「文学」であると。「文学」の、そして、本を読むことの可能性や意味を改めて考えさせられた1冊です。 (販売促進室 磯野真一郎)
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![]() ![]() 河出書房新社 2,100円(5%税込) |
アガサ・クリスティ 青木久恵訳 『そして誰もいなくなった』 生誕120周年を記念して新訳版が発売されました。好きな海外作品の新訳版がでると、内容の大きな変化の有無に関わらず、つい手にとってしまいます。
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![]() ![]() メディアファクトリー 1,260円(5%税込)
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小野不由美 『ゴーストハント 1』 『十二国記』の大人気で読みたい人が大勢いるにも関わらす、入手困難となっていた「悪霊シリーズ」。ついに復活すると聞いた時は、とても嬉しく、心の中でガッツポーズをしていました。もちろん私も小野不由美さんは大好きです。 |
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![]() ![]() 東京創元社 1,995円(5%税込) |
北森鴻 『うさぎ幻化行』
亡くなった義兄が遺した音のメッセージの謎を追い、旅に出るリツ子の姿を描く連作短篇集です。 (厚木店 岩堀華江)
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![]() ![]() 文藝春秋 1,400円(5%税込) |
宮下奈都 『田舎の紳士服店のモデルの妻』
「主婦を書くというのは私の使命じゃないかって勝手に思っていたんです」とおっしゃる宮下奈都さんの最新作は、夫のうつ病により東京から彼の故郷北陸に居を移すことになった2児の主婦梨々子の物語です。東京を離れる際の後ろ髪ひかれる心持ちや田舎の濃密なコミュニティに戸惑う気持ちが気負わない文体で綴られており、読者にリアルな感覚として伝わってきます。
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![]() ![]() ![]() ![]() 講談社 各440円(5%税込) |
諌山創 『進撃の巨人』 完全に口コミで静かな広がりをみせ、あっという間に書店店頭をにぎわせるようになったその様子がまずもって不気味です。そしてタイトルどおり、人間を捕食する巨人たちが人間の築いた城壁都市に進撃してくるのです。人間たちの恐怖、絶望感は筆舌に尽くしがたい。加えて夏目房之介さんをはじめ、多くの読者が指摘しているとおりの「うまいとはとてもいえない画」が、このストーリィに絶妙なタッチで馴染んでおり、不安感を心の奥底から湧き上らせてくれます。
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![]() ![]() 小学館 1,575円(5%税込) |
東川篤哉 『謎解きはディナーのあとで』 中村祐介さんの装画にぴったり合う物語は、かなりの確率で書店員を味方につけることが出来ます。本格ミステリィ作家東川篤哉さんの最新作は、殺人現場に咲く一輪の黒い薔薇、現代の大財閥「宝生グループ」の令嬢でありながら、国立署所属の刑事宝生麗子の活躍を描いたミステリィ連作短編集です。 (アトレ新浦安店 広沢友樹)
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