Web版 有鄰 第586号 #神奈川に住んでるエルフとは/鎧田

第586号に含まれる記事 令和5年5月10日発行

#神奈川に住んでるエルフとは(*) – 1面

鎧田

(*)エルフとは: ファンタジー作品に多く登場する精霊のような種族で、長命で尖った耳と美しい姿が特徴

『#神奈川に住んでるエルフ』はこんなマンガです

市町村や地域をイメージしたユニークなキャラクターたち

市町村や地域をイメージしたユニークなキャラクターたち

読者の皆さんの地域にはどんなエルフがいるのかな?
本を読んで探してみてください。
横浜、相模原、横須賀、藤沢、平塚などの各自治体のエルフとともに、川崎の人間、町田のオークや野毛や伊勢佐木町のダークエルフ、葉山とみなとみらいのハイエルフなども登場します。

私が初めて有隣堂に行ったのは十数年前で、横浜駅に漫画を買いに行った時だと記憶しています。当時の私は、神奈川に出てきたばかりの田舎者で、神奈川どころか横浜のことも知らない満員電車に怯えるお上りさんです。

「えっ? ご当地あるある漫画を描いているのに神奈川出身じゃないんですか?」と思う方もいるでしょうが、「江戸っ子は三代住んで江戸っ子、ハマっ子は三日住めばハマっ子」という言葉があります。私は横浜市民です。ミナトヨコハマの新しいものを積極的に受け入れるという開放的な気風でもって何卒ご了承頂けると嬉しいです。話を戻します。

私は、どこをどう行ったのか今ではさっぱりわからないのですが、迷ってしまいました。探していたのは、漫画がたくさんあると言う「有隣堂横浜駅西口コミック王国」です。コミックス(漫画の単行本)が発売日から2日遅れで入荷する地方の本屋で「発売日に並んでいるかもしれないから」と勝手な期待をして大好きなコミックスを買いに行き、結局肩を落として帰宅したことのある中学生の頃の私の経験からすれば、そこは天国のような場所に違いないと思っていました。

「絶対に辿り着きたい」

駅構内の看板を見て、有隣堂という文字を確認して、フルーツ屋さん(だったと思う)の角を曲がりました。

ここまで聞いて生粋のハマッ子なら察してくださったでしょうが、私が辿り着いたのは「有隣堂横浜駅西口エキニア横浜店」でした。この店の主な取り扱いは文房具と参考書です。店内をぐるぐる回り、3回ほど赤本を見つめたところで、自力で探すのを諦め、店員さんに「漫画はどこですか?」と尋ねました。彼は「ああ」と明るく言った後、慣れた様子で場所を伝えてくれました。わかりやすく堂々とした案内でした。

今覚えば、私のような横浜駅初心者にけっこう尋ねられることなのではと思います。案内してもらった場所は少し離れていましたが、なんとか辿り着き、たくさんの漫画を買って帰ることが出来ました。最高でしたし、天国でした。以前住んでいた県にはない本屋さんでしたが、すごく大きいし、きっと全国チェーンの本屋なんだろうと思いました。

それから十数年後、まさかこの経験を元に漫画を描くことになるとは思ってもみませんでした。

私が描いている『#神奈川に住んでるエルフ』は神奈川県のローカルなあるあるネタと共に、そこで暮らす「エルフ」という寿命の長い種族と人間の交流を描いています。この作品の第1話は、主人公の「横浜のエルフ」と「川崎の人間」が横浜駅で英語の参考書を探して有隣堂横浜駅西口エキニア横浜店にやっとたどり着くというストーリーです。

単行本化にあたって

実は、神奈川の漫画なんだからたくさん売ってくれるだろうという算段で、舞台は横浜駅にある有隣堂にしました。第1話の舞台ともなれば、大量に仕入れてくれるに違いありません。

初めての単行本が売れずにひっそりと書店の本棚に埋もれていくのは辛いことです。全国チェーンみたいな顔をしている有隣堂のパワーを借りてそれを回避したかったのです。それに先に書いた私の「横浜駅で迷う」という経験は、方向音痴の神奈川県民や観光や出張で横浜駅を訪れた他県民にも共感出来るのではないでしょうか。「これでいこう」と当時の私は覚悟を決めたのです。

発売日当日、有隣堂横浜西口コミック王国では新刊が置かれる一番目立つ台に『#神奈川に住んでるエルフ①』はたくさん平置きされていました。描き下ろした色紙も飾ってあり、最高に嬉しかったし、心の中で「やってやった!」とも思いました。その後は、ご縁もあって登録者数20万人超えの有隣堂のYouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」にも出演させて頂きました。

私がこの話を書くことで、少しでも『有鄰』を手に取る人が増えれば良いなと思っています。多少でも『有鄰』の認知度を上げ、有隣堂に恩返しが出来れば……

手に入れて、読んで、SNSで話題にして欲しい。

それに『有鄰』を作っている有隣堂のおじさん達は「YouTubeチャンネル」に負けたくないらしいです。

鎧田
鎧田(よろいだ)

横浜市在住。漫画家。西洋の甲冑好き。
『#神奈川に住んでるエルフ』は2023年2月に相模原市役所にてコラボ展示を実施。4月からは神奈川新聞日曜版で「#神奈川に住んでるエルフのおさんぽ」の連載を開始。

『#神奈川に住んでるエルフ』①②③(マイクロマガジン社)
#神奈川に住んでるエルフ』①②③(マイクロマガジン社)

WEB #神奈川に住んでるエルフ|コミックELMO(comicelmo)はこちら⇩
https://comicelmo.jp/detail/kanael/

鎧田さん出演のYouTubeチャンネル:神奈川あるあるの世界 ~有隣堂しか知らない世界 104 はこちら⇩
https://www.youtube.com/watch?v=Aj4IkOYP7H8

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