Web版 有鄰 第593号 『有隣堂しか知らない世界』密着レポート /「有鄰」編集部
『有隣堂しか知らない世界』密着レポート
「有鄰」編集部
『有隣堂しか知らない世界』という有隣堂のYouTubeチャンネルをご存じでしょうか? 実は本紙を編集している有隣堂出版部も『有隣堂出版部の世界』というテーマで出演したことがあります。
有隣堂の最古参メディア「有鄰」としては、当社の最新のメディアである『有隣堂しか知らない世界』がどのように作られているのか、気になるところです。ぜひ取材をさせてもらおうと、5月下旬に行われた動画の撮影現場に潜入してきました。撮影スタジオは、有隣堂伊勢佐木町本店の6階。本店は、このYouTubeチャンネルでも何度も取り上げられるくらい古い建物のため、WiFiの調子が悪かったり、機材のコードをネズミに齧られたり、なんてことも多々ありますが、それでもここで最先端の面白い番組が作られているのです。
撮影が始まるまで
-
- 収録前のスタジオ
5月某日の撮影スケジュール
12:30 セッティング
13:00 収録①
16:00 収録②
18:30 生配信
19:30 生配信終了
この日の撮影は午後から始まり、3本分の動画を撮ります。最初の出演者が到着する13時までは、機材の調整や会場準備に加え、別の回の出演者候補とのオンライン打ち合わせなどもしていて、始まる前から忙しい!
-
- 打合せ中
想像していたよりも狭い「ゆうせか」(『有隣堂しか知らない世界』の愛称)の撮影スタジオに足を踏み入れた「有鄰」記者は、スタッフと番組プロデューサーのハヤシユタカ氏(以下プロデューサー)に挨拶。プロデューサーに「『有鄰』? なにそれどこで読めるの? 社内報?」と言われ、「ゆうせか」の現場っぽいと思いました。
気が付くと、最初の出演者が到着するまであと10分。終わってから考えると、到着するまでのこのわずかな時間しかご飯を食べる暇もありませんでした。ちなみにスタッフは毎回、近所にあるファストフードのテイクアウトが定番。食べながら打ち合せしていると、1本目の撮影の出演者が到着! ここからは怒濤の一日。食べ終われないハンバーガーは、ちょこちょこつまんでゆくしかありません。
1本目の収録
-
- 番組MC R.B.ブッコロー
(正直者で好奇心旺盛)
まずは1本目の出演者との打ち合わせ。出演者が番組スタッフたちに、本日取り上げる商品の仕組みや魅力を説明します。簡単な台本が用意されていますが、書いてあるのは進行の順序のみ。番組は、出演者とMCのその場の掛け合いで出来上がっていきます。
打ち合わせ中に、この番組の要であるミミズクの番組MC「R.B.ブッコロー(以下ブッコロー)」が到着。ブッコローは新鮮なリアクションを取るために、この打ち合わせには参加せず、収録が始まって初めて用意してきた内容を知ります。そんな撮影前のブッコローに、お話を聞くことができました。
「視聴者のみんながいちばん思っていることを、素直に言う。友達としゃべっているかのように、用意されていない面白さが大事」ということを意識して撮影に臨んでいるそうです。その後、ブッコローとプロデューサーだけの打ち合わせをしたり、出演者を紹介するときに使う「二つ名」を考えたりして、いよいよ撮影開始です。
ブッコローが元気よく出演者を紹介し、どんどんトークを展開。出演者の面白いところを引き出します。出演者のプレゼンに対し「ぶっちゃけ、いらない」など忖度せずにしゃべりますが、意地悪で言っているわけではなく、それに負けじともっともっと熱く語ってほしいのです。そしてプロデューサーは、スタッフに指示を出し、動画を面白く仕上げるために現場を動かします。現場は笑い声がたくさん上がり、その場にいる誰もが、この空間を保とうという意識を持った、あわただしくも楽しい雰囲気に包まれていました。
1時間半ほどかけて、やっと1本目の収録が終了。こんなに長く撮影しても、この素材を元に編集し、10分以下の動画にします。それくらい、おもしろい部分だけを凝縮して動画を作っているのです。
2本目の収録
-
- 当日は新入社員も見学
だいぶ時間が押しているということで、バタバタと2本目の準備に入ります。次の出演者は有隣堂の社員で、この番組ではおなじみの「文房具の仕入れの全権を握る男」(これが二つ名)こと間仁田亮治氏です。1本目同様、打ち合わせに加え、今回は小道具を使うため、それがちゃんと機能するかの確認などもあり、これがダメだったら動画自体が破綻してしまうかもしれない……という緊張感が漂いつつ撮影が始まりました。
-
- ブッコローと間仁田氏
しかし撮影自体は和やかに進み、何度も出演している間仁田氏だからこそのノリで、ブッコローも「今日調子いいじゃないですか!」とめずらしく褒めてくれます。
撮影後の間仁田氏に感想を聞くと「終わってホッとしています……。紹介した情報が間違っていないか心配……。この後まだ仕事があるので、今日は生配信の方は見ずに帰ります」と言っていました。文房具の仕入が本業のはずが、YouTubeに出演しておしゃべりまでしないといけない、というプレッシャーに耐えて出演し続けてくれるなんて、すごい労力だなぁと思うばかりです。
生配信
-
- 指示は手書きで
これまでの2本は収録でしたがここからは生放送なので、時間通りに始めなくてはならないし、修正も効きません。機材を生配信用に切り替えている間も、プロデューサーとスタッフで、過去の動画の感触や、ウケが良かったシーンの分析、次の動画のサムネイル画像について、など話し合うことが山ほどあります。
今回の放送は「有隣堂のYouTubeを裏で牛耳る女」渡邉郁氏とブッコローが出演。「ゆーりんちー」(ゆうせかのファンの総称)も多数視聴してくれてます。「ゆーんちー」からの質問や、大喜利のお題に答えたり、みんなをいじったり、楽しい会話をしているうちに時間もあっという間に過ぎてしまいます。この生配信は、月2回決まった日時に行われるため、まるで「いつもの待ち合わせ場所」のような雰囲気があり、温かい気持ちになりました。
以上で全ての撮影は終了。ちなみに、以前は1日に5本撮影していたそうで、最近はだいぶ楽になったと言っていました。
と思いきや、撮り残したものがあるようで、スタッフはまだまだ帰れません。本当にお疲れ様です!
取材を終えて
-
- ファンレター来てます
出演者はみな、“こんなこと、特技というほどではないし、ましてや他人に向かって語るなんて……”と思っているものです。しかし意外とそれは、普通じゃない。“自分はこれを、仕事でしていただけだから”と思っても、それを選ばなかった人にとっては、それは到底たどり着けない「知らない世界」です。そんな各々の世界の面白さを、これからもずっと見ていたいなと思いました。
また、YouTubeでのコンテンツ制作がどれだけ多くの努力と時間を要するか、身をもって体験しました。画面越しには伝わりにくい、制作現場の熱気や緊張感が「ゆうせか」が単なる情報提供チャンネルではなく、関わっている人々の人間性や商品への愛が光るコンテンツとして多くの視聴者に愛されている所以だと思います。
我々出版部も「ゆうせか」に学び、「有鄰」や出版物を通して、多くの読者に愛される紙面をつくっていきたいと思います。
※「ゆうせか」とは「有隣堂しか知らない世界」の愛称
※「ゆーりんちー」とは「ゆうせか」のファンのこと
『書名』や表紙画像は、日本出版販売 (株) の運営する「Honya Club.com」にリンクしております。
「Honya Club 有隣堂」での会員登録等につきましては、当社ではなく日本出版販売 (株) が管理しております。
ご利用の際は、Honya Club.com の利用規約やご利用ガイド(ともに外部リンク・新しいウインドウで表示)を必ずご一読ください。
第410号~573号は税別の商品価格を記載しています。
現在の税込価格は書名のリンク先等からHonyaClubにてご確認ください。
- 無断転載を禁じます。
- 無断転用を禁じます。
- 画像の無断転用を禁じます。 画像の著作権は所蔵者・提供者あるいは撮影者にあります。