Web版 有鄰 第596号 鎌倉紅谷70周年を超えて /有井宏太郎
第596号に含まれる記事 2025/1/1発行
鎌倉紅谷70周年を超えて – 海辺の創造力
有井宏太郎
私たち鎌倉紅谷は「クルミッ子」「あじさい」「鎌倉だより」など、お菓子の製造販売をしている会社です。
和菓子職人の祖父と洋菓子職人の父が共に鎌倉で創業したお菓子屋で、創業当時はまだ鎌倉の観光地化が今日のように進んではおらず、当時はケーキやシュークリームなどの生菓子も多く製造していました。
鎌倉の観光地化が進むにつれて少しずつ日持ちのする焼き菓子中心となり、大銀杏の一葉を模ったサブレーの「鎌倉だより」と、練乳とアーモンドの風味が絶妙な「あじさい」に加え、焼き菓子三本目の柱として誕生したのが「クルミッ子」です。当時はほとんどの商品に源頼朝が描かれた包装紙が使われていましたが、より中身のお菓子をイメージしていただきやすくしようと考え2008年に大幅なブランドリニューアルをしました。
その後2018年に二度目のブランドリニューアルを経て現在のブランドロゴやパッケージデザインに至ります。
そして2024年、おかげさまで創業70周年を迎えることができました。日頃ご愛顧いただいているお客様をはじめ、様々な取り組みをご一緒させていただいている企業様たちやサポートくださっている皆様、共に働いてくれている仲間たちに心から感謝いたしております。
24年4月には日頃お世話になっている方たちへの感謝を込めて、「創業70周年式典」を開催し、お取引先様などの企業様方に加え25名と少ない枠ではございましたがファンの皆様もご招待させていただきました。いつか経営者人生を振り返った際に、最も印象深い良き思い出のひとつとして刻まれたと感じております。
10年に一度の節目の時期を、激動の日々が続くこの時代に迎えられたことをとても幸運だと感じております。なぜならこのような先の読めない時代だからこそ、忘れてはならない原点や想いと改めて向き合うことは意味のある大切なことになるからです。
時代の変化に適応し、変わり続けることは今を生きる私たちにとても強く求められることである一方で、何にどう適応するのか、どう変わるのか、時代にどう向き合うのか。こうした姿勢がないままだと、いつの間にか本当に大切にしなくてはいけない価値観などを失ってしまうかもしれません。決してそのようなことになってはいけないという強い想いで掲げた70周年のテーマは「原点回帰から未来へ」という言葉でした。
私たちにとって原点とは経営理念(「常においしさを追求し続ける」「心を込めたお菓子とサービスで笑顔と幸せをつくる」)であり、「原点回帰から未来へ」には「日々の忙しさで忘れてしまっているかもしれない大切な原点に立ち戻り(回帰し)、全員で足並みを揃え、正しい未来へ向かっていこう」という想いが込められています。
果たしてこの一年間で私たちがどれだけ原点回帰できたのか? その真価は新しい未来の一歩目となる2025年から試されていくのであろうと思います。
これから先も、より良い未来をお菓子で彩ることができるよう、おいしさを追求しつづけてまいります。
(株式会社鎌倉紅谷 代表取締役)
『書名』や表紙画像は、日本出版販売 (株) の運営する「Honya Club.com」にリンクしております。
「Honya Club 有隣堂」での会員登録等につきましては、当社ではなく日本出版販売 (株) が管理しております。
ご利用の際は、Honya Club.com の利用規約やご利用ガイド(ともに外部リンク・新しいウインドウで表示)を必ずご一読ください。
第410号~573号は税別の商品価格を記載しています。
現在の税込価格は書名のリンク先等からHonyaClubにてご確認ください。
- 無断転載を禁じます。
- 無断転用を禁じます。
- 画像の無断転用を禁じます。 画像の著作権は所蔵者・提供者あるいは撮影者にあります。