Web版 有鄰

548平成29年1月1日発行

神奈川のかるた – 海辺の創造力

シゲタサヤカ

jimotokaruta

「神奈川県の『かるた』を作りませんか?」テレビ神奈川(tvk)で番組を作っている方より、ある日ふいにお誘いが。私は20代後半の頃、tvkの中でテロップ入力のアルバイトをしながら絵本を描く日々を過ごしていました。そんな懐かしいご縁もあって「ぜひぜひ」と、子ども番組に向けてかるたを作ることになったのです。決められたテーマはただ一つ「かるたを通じて神奈川の良さを知ってもらいたい」というシンプルなもの。これはすなわち「郷土かるた」!たちまちやる気が出て来ました。

というのも、私は日本で一番「郷土かるた」に馴染みの深い県で育ちました。それはどこかといえば群馬県。群馬には昔から『上毛かるた』というものが存在していて、これがどうしたことか「一家に一箱ある」と言っても過言ではないくらいの絶大な浸透っぷり。誰もが幼少期にこのかるたで繰り返し遊び、県内の名所・名産・人物・歴史等を自然に覚えます。群馬から神奈川へ越して20年近くになりますが、いまだに私も全ての札を暗唱でき、故郷の良さを思い出す大切なツールとなっているのです。

そんなこんなで、テンション高く始まった神奈川のかるた作り。まずは登場させたいネタを、まんべんなく県内33の市町村から挙げていきます。厚木ならシロコロ、伊勢原なら豆腐、川崎のくず餅に、三崎のマグロに……。ふだん食べ物の絵本を描いているせいもあって、ついつい候補は美味しい名物ばかりに。もちろんそれだけではダメなので、鎌倉の大仏や、湯河原の温泉、江の島や小田原城などの名所も入れていきます。それから平塚の七夕や座間の大凧などのお祭り関係に、二宮の菜の花、開成のアジサイなどの花々も。調べれば調べるほど魅力的なネタが出てきますが、紹介できるのは46枚分だけ。ダントツでネタの多い横浜は、泣く泣く候補を絞りました。全てのネタが決定したら「あ」から「ん」の札に振り分けて、読みの文と絵を添えます。ここはあまり堅苦しい感じにはせず、ちょっぴりクスッと笑えるような内容にしてみました。

こうして神奈川の魅力がたっぷり詰まったかるたが完成!当初は番組内のコーナーで使われるだけの予定でしたが、この冬『遊んで学べる神奈川県民ジモトかるた』というタイトルで講談社から商品化されました。ぜひ、このかるたで遊びながら神奈川の良さを知り、地元愛を深めてもらえたら嬉しいです。

(絵本作家)

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